トラック・バス用リトレッドタイヤ普及による資源使用量とCO2排出量の削減効果について
No.1274
2024年4月1日
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(会長 山石 昌孝)は、トラック・バス用タイヤのカテゴリーで日本国内市場におけるリトレッドタイヤ普及に伴う資源使用量の削減効果、及びCO2排出量の削減効果についてとりまとめました。
1. はじめに
タイヤ業界では、タイヤのライフサイクル全体で省エネ化の推進及びCO2の排出量削減に取り組んでいます。また、日本自動車タイヤ協会では、これら活動の効果算定に活用してもらうため、2021年3月に「タイヤの LCCO2算定ガイドライン Ver.3.0」を改定発行しています。
当会ではこのガイドラインを用いて、日本国内市場におけるトラック・バス用リトレッドタイヤ(1)の普及に伴う資源使用量の削減効果、及びCO2排出量の削減効果を2022年12月に公表しております。
今回、その後の推移を確認するため、2022年と2023年の新品タイヤとリトレッドタイヤの販売実績を調査しその結果に基づく削減効果を取りまとめました。
前回同様、国内市場における各年度の販売実績データに関しては、更生タイヤ全国協議会よりご提供いただき、削減効果の算定に使用しております。
台タイヤを再利用でき、ユーザーのコストメリットに繋がり、省資源にも貢献するものです。
2. リトレッドタイヤの普及状況について
日本国内市場におけるリトレッド率を表1、図2に示しております。リトレッド率は2018年から2022年まで18%前後で推移しておりましたが、2023年は20%に到達しました。2023年の新品タイヤ販売が2022年対比で減少する中、リトレッドタイヤの販売本数は増加し、リトレッド率が大きく向上しました。
表1 日本国内市場におけるリトレッド率
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
国内販売本数 (万本) |
合計 | 671.4 | 665.9 | 599.4 | 648.0 | 679.4 | 637.9 |
新品 | 550.6 | 545.8 | 489.4 | 532.2 | 556.9 | 510.6 | |
リトレッド(2) | 120.8 | 120.1 | 110.1 | 115.8 | 122.5 | 127.3 | |
リトレッド率(%)(3) | 18.0 | 18.0 | 18.4 | 17.9 | 18.0 | 20.0 |
図2 日本国内市場におけるリトレッド率の推移
3. リトレッドタイヤ普及による資源使用量削減効果の算定
リトレッドタイヤの生産では、台タイヤ部分を再利用するため、新規投入材料はトレッドゴムのみとなり、新品タイヤの生産に比べ、資源使用量で約69%、CO2排出量で約65%をそれぞれ削減することができます(タイヤのLCCO2算定ガイドライン 代表サイズ275/80R22.5で計算)。
2018年から2023年における日本国内市場全体の資源削減量を計算した結果を図3に示しております。
これはすべての販売タイヤが新品であった場合に比べた削減量で、リトレッドタイヤ販売本数に比例します。
2020年、2021年は世界的なCOVID-19流行の影響を強く受け低下しましたが、その後、回復し、2023年は流行以前の資源削減量より増加しました。2023年の資源削減量は年間約4.9万トンで、これは275/80R22.5サイズの新品タイヤの平均的な重量で置き換えると約88万本に相当します。
図3 日本国内市場における資源削減量の推移
4. リトレッドタイヤの普及によるCO2排出量の削減効果の算定
表2に各年における日本国内市場全体の全ての販売タイヤが新品であった場合と比べたCO2削減量をライフサイクル段階別に示しています。また、図4には各年のCO2削減量推移を示しています。
2023年のリトレッドタイヤ本数はCOVID-19流行以前のレベルを上回った結果、CO2削減量も年間約22.1万トンと増加しました。これは275/80R22.5サイズの新品タイヤ約121万本を生産する際のCO2排出に相当する量です。
表2 日本国内市場におけるCO2削減量の推移
CO2削減量 万トン | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
原材料生産 | 11.5 | 11.4 | 10.5 | 11.0 | 11.6 | 12.1 |
原材料輸送 | 0.8 | 0.8 | 0.7 | 0.7 | 0.8 | 0.8 |
タイヤ生産 | 2.0 | 2.0 | 1.8 | 1.9 | 2.0 | 2.1 |
廃棄・リサイクル | 6.7 | 6.7 | 6.1 | 6.5 | 6.8 | 7.1 |
合計 | 20.9 | 20.8 | 19.1 | 20.1 | 21.2 | 22.1 |
各段階のCO2削減量は次のように計算しています。
図4 日本国内市場におけるCO2削減量の推移
また、図5に2023年の総本数を前提とした、リトレッド率とCO2削減量の関係を示しています。
これらは比例関係であり、国内市場でリトレッドタイヤの使用が増えていくことにより、さらにCO2削減や資源量削減への貢献も拡大します。
現在の日本国内のリトレッド率は、海外と比べると低い状況であり(4)、リトレッド率が高まることで持続可能な社会の実現に向けてのさらなる貢献が期待されます。
図5 リトレッド率とCO2削減量の関係
本件に関するお問合せ先
環境部:楠本、時田
電話 03-3435-9094