廃タイヤの発生抑制

1. 廃タイヤリデュースの取組み

タイヤのロングライフ化と軽量化を推進するため、新商品の旧商品対比のライフ指数と重量指数から算出した「リデュース達成率」を毎年公表しています。

リデュース達成率は、100を上回れば改善、下回れば悪化の傾向を示すものとなります。

・リデュース達成率=リデュース係数×100

・リデュース係数=ライフ指数/重量指数

・ライフ指数=(新製品の設計仕様上の摩耗寿命(km)/旧製品の設計仕様上の摩耗寿命(km))×100

・重量指数=(新製品の重量(kg)/旧製品の重量(kg))×100

近年、タイヤに要求される性能は、車外騒音の低騒音化、ウェットグリップ、転がり抵抗等、多様化しており、これらとのバランスを考慮することも重要になっていますが、ロングライフ化と軽量化を推進することで、廃タイヤ発生量、原材料使用量の削減を目指しています。

リデュース達成率モニタリング

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2. 廃タイヤの発生量・有効利用量

(1) 発生量

国内における2023年の廃タイヤの発生量は、タイヤ取替時、廃車時の合計で9,000万本。前年から100万本減少しました。

①タイヤ取替時

タイヤ取替時の発生量は7,800万本。物価高による消費者・企業マインド低下の影響等で市販用タイヤの販売は前年より減少、廃タイヤの発生量も前年より100万本減少となりました。

②廃車時

廃車時の発生量は1,200万本。廃車台数が前年に引き続き300万台を下回り、廃タイヤの発生量も前年と同等となりました。

発生量の推移

単位:百万本

  2020年 2021年 2022年 2023年
タイヤ取替時※1 72 76 79 78
廃車時※2 13 14 12 12
合 計 85 90 91 90

資料:JATMA

※1 市販用タイヤ販売実績、輸入タイヤ貿易統計を基に推計。
※2 廃車台数(自動車リサイクル促進センター公表値)を基に推計。

なお、更生タイヤは使用されている限りは廃タイヤにならず、発生量、有効利用量に影響がないことから今回より除外しました。上記の表は更生タイヤを除いた数字を示しています。諸外国においても同様の考え方で整理されています。

(2) 有効利用量

2023年の廃タイヤ有効利用量は77万6,000トン、有効利用率は99.2%となりました。

製紙工場における廃タイヤの燃料利用が拡大し、前年に比べ約1割増加、全有効利用量の約6割となりました。廃タイヤの熱分解については、新規参入が続いているものの、廃タイヤ有効利用量の全体からみると、その利用はまだ限定的です。

有効利用量の推移

単位:千トン

  2020年 2021年 2022年 2023年
製紙工場 412 425 433 476
化学工場 96 112 136 113
セメント工場 69 73 81 67
中小ボイラー 2 3 5 5
タイヤメーカー工場 2 2 3 2
熱分解施設 10 1 2 1
再生ゴム・ゴム粉 115 84 85 88
原形加工利用(鉄原料含む) 1 1 15 24
製鉄工場 16 17 0 0
有効利用量 723 718 760 776
非有効利用最終処分量 5 11 14 6
有効利用率(%) 99.3% 98.5% 98.2% 99.2%

資料:JATMA

(3) その他

  • 従来は廃タイヤ発生量、リサイクル利用量を別のデータソースから求め、その推計値をもとにリサイクル率を算出していましたが、より一層実態に即した数字を示すため、今回から廃タイヤ処理量に占める有効利用量を有効利用率として算出することにしました。
    有効利用率は「有効利用量」/「有効利用量+非有効利用最終処分量」×100で算出しています。
  • また、国内の有効利用率を算出する観点から、中古タイヤ輸出及び切断品/破砕品輸出、輸入され有効利用された切断品/破砕品は除外しています。
  • 国内の熱利用先が海外から廃タイヤの切断品/破砕品を有価購入する状況が続いており、2023年の年間輸入量は約13万9,200トンでした。前年に比べ約6万トンの増加となり、集計開始以来の最高値となりました。

3. 廃タイヤの不法投棄残存量

2024年2月調査時の合計数量は、75件、23,765トン。
昨年の調査時と比較して、1件減少(内訳:撤去完了1件、自治体再評価変更1件、新規判明1件)、1,398トンの減少となりました。全量撤去に至らずとも、集積量が減少した案件が複数あり、総量として減少しました。

廃タイヤの不法投棄(残存量)状況(2024年2月末調査結果)

2023年 2024年
件数 重量
(トン)
件数 重量
(トン)
対前年増減
件数 重量
(トン)
  内訳
撤去完了 新規判明
北海道 4 1,920 3 920 -1※1 - - -1,000
東北 19 3,875 19 3,605 - - -270
関東甲信越 27 6,281 27 6,280 - - -1
首都圏 9 1,819 10 1,839 1 - 1 20
中部 3 3,650 3 3,650 - - 0
近畿 1 2,000 1 2,000 - - 0
中国 3 365 3 365 - - 0
四国 1 73 1 73 - - 0
九州 9 5,180 8 5,033 -1 1 - -147
合計 76 25,163 75 23,765 -1 1 1 -1,398

資料:JATMA

備考1:

自治体が不法と認識しているもので、1件あたり1,000本以上の案件を集計

  2:

廃タイヤの重量は、10kg/本として集計

  3:

※1:自治体の再評価による件数減少

不法投棄状況(残存量)の推移

図を拡大して見る

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資料:JATMA

4. 原状回復支援制度

原状回復支援制度は、不法投棄された廃タイヤの、自治体による撤去事業を支援・促進することを目的として、2005年に設置した制度です。

【支援対象者】

生活環境保全上の支障の除去を目的として、不法投棄された廃タイヤの撤去事業(行政代執行による撤去を含む)を行う自治体

【支援金額】

撤去費用の2/3又は3,000万円(消費税込)のいずれか低い額

【支援条件 -抜粋-】

  • 申請者たる自治体が、不法投棄の行為者または投棄場所の土地の所有者ではないこと
  • 廃タイヤの存在により、生活環境保全上の支障が現実的に生じている又は生ずるおそれがあること
  • 撤去本数の見積もりが1,000本以上であること
  • 行為者が車両解体業者に当たらないこと
  • 申請者たる自治体が撤去事業の対象となるタイヤについて廃タイヤと認定し、廃棄物処理法上の措置命令を発出していること(法的に措置命令を発出できない場合を除く)
  • 行為者が、不明、死亡又は破産等により、廃タイヤ撤去の責にある者の資力からみて、当該廃タイヤの撤去を行うことが困難であること
  • 廃タイヤの不法投棄に関する原因の究明並びに行為者、土地所有者、排出事業者その他の関係者の責任追及が十分に行われていること
  • 廃タイヤ及び不法投棄場所の土地に関した第三者の権利が存在しないこと
  • 支援対象者において支援対象事業実施に必要な事業予算が計上されている又は計上されることが確実であること

【支援申請の受理可否までのフロー】

支援申請の受理可否までのフロー 支援申請の受理可否までのフロー

【申請受理の場合、支払までのフロー】

申請受理の場合、支払までのフロー 申請受理の場合、支払までのフロー

◆支援申請を検討される自治体の方へ

上記以外の条件、詳細等は相談時にご案内いたします。相談をご希望の場合は、お近くの当会各支部へご連絡ください。

原状回復支援制度の運用実績